Sugar Elite設立に込めた想い

日本の未来へ、強い危機感

今、日本と世界の差はますます開いています。
身体的な能力の優れているアフリカ系の選手のために、世界中の企業やチームが資金を投下し、最先端のトレーニングを施し、大会がつくられています。
こうした流れの中で、彼らはますます速くなる。この状況が続けば、日本人選手は世界のトップから取り残されてしまうという強い危機感を持っています。
だからこそ今、必要なのは、僕ら日本人に合ったトレーニング、日本人のための大会、日本人が強くなるためのチームを、僕らの手でつくることです。
日本がもう一度、世界のトップで戦うために――。Sugar Eliteは、そうした想いから誕生しました。

 

次世代に、つなぐ

僕自身、これまで競技を続けてきた中で、自分自身の限界というものが見えてきました。自分の力だけでは、決して追い付くことのできない壁がある。
だからこそ、僕がやってきたことを僕の中で終わらせるのではなく、しっかりと次世代につないでいかないといけない。そのために僕ができることは何か?
これまでの自分の経験をもとに、世界で戦える選手を育てていくことだと、この数年、強く考えるようになりました。

 

背中を、見せたい

始めるなら、今だと思いました。
いろいろな指導者の方に話を聞いたのですが、引退した自分たちが選手に何かを言ってもなかなか響かない、同じことでも現役で活躍している選手が言った方が彼らには響く、と話していました。
引退する前に、現役選手として影響力があるうちに始めることに、意味がある。どういう姿勢で競技に取り組んでいるのか、その背中を見せたいと考えるようになりました。
8月に第1回合宿を行いましたが、1週間で何かが劇的に変わったわけではないと思います。
ただ世界と戦う上では、当たり前のことを当たり前に続けていくこと、気付きを得て、意識が変わっていくことが大事です。

 

いつもと違う場所に、身を置く

これは実際に僕自身が経験したことでもあります。
早稲田大学3年生のとき、ナイキ・オレゴン・プロジェクトに参加するためにアメリカに渡り、世界のトップ選手ですらここまでやらなきゃいけないんだと感じました。
新しい場所に行って、新しいトレーニングを見て、新しい人たちの価値観に触れる。これまで見えていなかったものを、当たり前のこととして気付くことができる。
一歩を踏み出して違う環境に行くことで、自分の立ち位置を自覚する。言い訳ができない環境に身を置くことで、やらざるを得なくなる。
そういった環境をつくることが、Sugar Eliteの目標でもあります。

 

新しい挑戦を、みんなと一緒に

Sugar Eliteでは、これまでの常識や慣例にとらわれず、新しい挑戦を続けていきたいと思います。
日本の陸上界は、大学や実業団でも駅伝が中心になっています。そこに所属している選手は、チームが目指すもののために走ることになる。
ただそれでは、世界で戦える強い選手がなかなか生まれないというのが現状です。もっと新しい選択肢をつくっていくことが必要になります。
「陸上ってかっこいい」「世界で戦うあの選手みたいになりたい」。そう感じて、陸上を始めたいと思ってくれる子どもたちを増やしていく。
新しい挑戦を続けていくことが、日本陸上界の未来を変えていくことにつながると信じています。
しかしそれは、僕一人の力だけで成し遂げることはできません。

次の世代のために、みんなと一緒に未来を創っていきたいと考えています。

 

大迫傑